【書籍レビュー】子どもが減って何が悪いか!
赤川学さん著、「子どもが減って何が悪いか!」を読みました。
この本は2004年に発行された本で、今から10年以上も前に発売された本なわけですが、今読んでも全然色あせていない本でした。
むしろこの本が発売されてからこの本に書かれている主張が日本に浸透していたら、日本は少し変わっていたのではないでしょうか。
この本の趣旨
- 日本は少子化が進んでいるが、これに対し仕事と子育ての両立支援や男女共同参画社会の実現には少子化に対する効果の根拠がない。
- 少子化は止めようがなく、これを前提とした公平で自由な社会を目指すべき。
著者は、少子化の問題について明確な答えを持っています。それがこちら。
- 男女共同参画社会が少子化対策として有効でないとしたら、男女共同参画は必要ないのか→「否」
- 男女共同参画社会は、少子化対策と結びつくべきなのか→「否」
- 少子化はなぜ問題なのか。そもそも問題なのか→「多少、問題である」
- 少子化が仮に問題であるとして、出生率回復策で対応するのかよいことなのか→「否」
- 出生率の回復よりも、優先すべき課題はないのか→「ある」
- 少子化はなぜ進むのか。それを食い止めることは可能なのか→「不可能」
- 少子化が進み、人口減少社会が到来する今後、どのような政策が望ましいのか→「出生率低下を与件とする制度設計が望ましい」
- 21世紀の少子化と男女共同参画をめぐる理念は、何か→「選択の自由」と「負担の分配」
著者は、少子化問題の改善策として語られる「男女共同参画社会が実現すれば、少子化が防げる」というのは根拠がないことを、データを示して指摘しています。国際比較データは対象とする国を変えるだけで全然違う結果となると。リサーチ・リテラシーが必要だとも説いています。
この本を読んで思ったこと
「男女共同参画社会が実現すれば、少子化が防げる」というのは根拠がないということを示してくれて、何だかほっとしました。
確かに男女共同参画社会が実現することは大事なことです。しかし、それと結婚や出産は別なのです。
女性がフルタイムで男性と同じだけ働いて、しかも家事も子育てもというのは相当ハードです。
これを社会学者の水無田気流さんは「無理ゲー」と表現していましたが、その通りだと思います。
政策で「少子化を防ぐ」というのは無理でしょう。子どもを産むということはライフスタイルが大きく変わることであり、一人子供を産むには多大な労力とお金が必要となります。それは本人たちの自発的な感情で行われるべきものであり、国が強制できることではありません。
少子高齢化社会は成熟した国では必須なことなのでしょう。とすれば、子どもを増やすことに注力するのではなく、高齢になっても働ける人は働くという社会にしたほうがいいのではないでしょうか。
結局少子化の何が問題かというと、年金や医療費などの担い手が減るということに尽きると思うのです。
であれば、高齢でも働ける人は働けばいいのです。
子育て中の人に仕事も家事も子育ても、って相当無理させ過ぎじゃないですか?
この本を読んで、「子どもが減っても別にかまわない、それを前提とした社会となっていくべき」という主張に目からうろこでした。
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